近年建てられた集合住宅であれば、トイレには備え付けの換気扇がついていることがほとんどです。
しかし、古い造りの郊外団地型のUR物件などでは、換気扇がついていないことも珍しくありません。
今回は、既存の窓をそのまま利用する形でトイレに換気扇を後付け設置しました。その際の具体的な作業手順やかかった費用、必要な工具について詳しくまとめました。
トイレの換気環境を改善したい方はぜひ参考にしてください。
コンセントに接続するプラグ接続機器の自作であるため、電気工事士の資格は不要です。
しかし、適切な資材の選択や作業を行わなければ漏電などの危険性を伴います。
実際に作業を行う場合は、自己責任のもと慎重に実施してください。
もともとのトイレには突き出し窓が設置されており、そこから換気を行う構造でした。

突き出し窓は開けた際に窓自体が雨除けの屋根代わりになるため、その構造を利用し、窓枠に貼り付ける形で換気扇を設置することにしました。
トイレの向きや周辺環境に合わせて、いくつか対策を行ったほうがよいことがあります。
突き出し窓であればある程度の雨は防げますが、強風時には風の向きによって防ぎきれないことがあります。
外からの雨水が換気扇を通して入り込むのを防ぐため、換気扇を覆うカバーを取り付けたり、フラップ付きの換気扇を選択したりして対策しましょう。
屋外に張り出す形で設置するので、換気扇と突き出し窓の間に鳥が巣を作ってしまうリスクがあります。
ダニの発生や感染症などの健康被害を防ぐため、鳥が止まれないように鳥よけを設置しましょう。
一度設置すると付け直しが難しいため、忌避剤ではなく物理的な鳥よけや窓を覆うネットの使用をおすすめします。
今回は備え付けの建具への加工などはなく、剥がすことのできる両面テープを使用して設置するため、物件に対する特別な申請は不要です。
退去時には原状回復が必要なため、忘れずに取り外す必要があります。
換気扇の電源を確保するため、トイレ内にコンセントを設置する必要があります。
UR物件の場合、条件によっては無料で設置できることもあるため、事前に管理事務所に確認しましょう。
作業に必要な各種資材と工具を工程別にご紹介します。
今回は三菱電機製のフラップ付き浴室用換気扇を使用しました。
アースが取れる3芯タイプを選択しました。
換気扇の消費電流は小さいですが水場近くで使用するため被膜のしっかりした太めのものをおすすめします。
漏電の危険性が高い環境の場合は漏電ブレーカー付きをおすすめします。今回はブレーカーなしを使用しました。
換気扇備え付けのケーブルとビニルキャブタイヤケーブルを接続するために使用します。
圧着工具やペンチなどでしっかり締めましょう。
圧着接続端子で接続した部分を包んでの絶縁・防水処理に使用しました。
熱収縮チューブはヒートガンなどで収縮させます。
水場での使用のため防水処理はしっかり行いましょう。
不要な穴の封止などに使用しました。
ケーブルを換気扇の内側を通して屋内側へ引き出すための、配線経路の穴あけに使用しました。
換気扇用の角穴をオーダーカットしたもの。強度を考慮し5mm厚を使用しました。
乳白色のものを使用して、ある程度外の光を取り入れつつも目隠しになるようにしています。
屋外へ落下すると非常に危険なため、窓の開口部よりも大きいサイズでオーダーしましょう。
吹き込み防止カバーと土台の一部に使用。曲げ加工を前提とするため1mm厚を選択しました。
アクリルに比べ耐候性に優れる反面、カラーバリエーションは少なく、価格も高めです。
うまく使い分けましょう。
建築用の厚手で強力なものを使用しました。
表面の細かな凹凸で接着力が落ちないよう、カバーできる少し厚めのものをおすすめします。
土台やカバー部分の防水処理に使用しました。雨の吹き込みが少ない環境であれば省略してもよいと思います。
設置用のネジ穴を切るために使用。手持ちのM5ボルトに合わせてM5で切りました。
ドリルタップのセットがあると工作の幅が広がるので、持っておいて損はない工具です。
ケーブルの固定と配線に使用しました。ヘラマンタイトンのものをよく使っています。
換気扇の土台への固定や配線用タイマウントの固定に使用しました。今回は工具箱に余っていたものを使いました。
屋外に露出するためステンレス製など劣化しにくい素材をおすすめします。
ボルトは六角よりも六角穴の方が奥まった場所でも締めやすいのでよく使います。
実際の作業工程を大きく3つのステップに分けて解説します。
デフォルトの状態では、換気扇の電源ケーブルは本体背面から屋外へと出る構造になっています。
そのまま設置するとケーブルが屋外に露出してしまうため、吸気口を経由して換気扇の外装内部を通し、前面(屋内側)へ引き出せるように加工を施します。
ケーブルを内側から引き抜き、元の引き出し穴はダクトテープでしっかりと塞ぎます。

ケーブルの通り道に干渉するフラップ(シャッター)の下部を切り取ります。

カットによってフラップの重量バランスが変わり、風圧で上手く開閉しなくなってしまった場合は、端材などを貼り付けて重さを調節してください。

ドリルを使用し、ケーブルが通るサイズの穴を開けて吸気口から内側へ引き出す経路を作ります。

吸気口の蓋に穴をあけて閉じた状態で引き出すか、蓋をわずかに開けた隙間から引き出すかは、住居全体の吸排気バランスを考慮して決定します。

ケーブルを前面に引き出した状態でもメンテナンス用の前面カバーが外せるよう、カバーの縁を一部カットしておきます。

換気扇に据え付けられている既存のケーブルではコンセントまでの長さが不足するため、ビニルキャブタイヤケーブルを繋いで延長します。
接続部分が外から見えると不格好なため、一度ケーブルを戻し、換気扇の内部空間で結線するときれいに収まります。
換気扇側、追加ケーブル双方の被膜を剥がし、同色のコード同士を圧着接続端子で接続します。


この時、最後にかぶせる熱収縮チューブをあらかじめケーブルに通しておくのを忘れないでください。
結線部をそれぞれ自己融着テープで巻き、その上から全体をまとめて処理し、最後に熱収縮チューブで閉じます。

過剰な多重処理に思えるかもしれませんが、水回りでの漏電が怖かったので行っています。
ケーブルがフラップに干渉しないようインシュロックで固定しておきます。

延長したケーブルの末端にコンセントプラグを接続します。
被膜を剥がす際、アース線をプラグの手前で引き出せるように少し長めに剥がしておきます。
プラグへの接続部分は根元を熱収縮チューブで保護し、それぞれの電源コードをプラグ内部の端子へしっかりとねじ止めします。

オーダーカットしたアクリル板にタップドリルを使用し、換気扇本体の固定用、および配線固定用のネジ切りを行います。

この段階で、実際にボルトを通して換気扇が正確にマウントできるかを確認しておきましょう。
アクリル板の縁に両面テープを貼り、窓枠へ圧着します。
必要に応じて、アクリル板やポリカーボネート板の接合部にシーラントを打ち込み防水処理を実施します。
両面テープは圧着してから時間を置くことで本来の接着力を発揮します。
換気扇を取り付ける前に半日ほど放置して接着を安定させましょう。
アクリル板だけでも相当な重量があるため、放置している間は落下防止のために養生テープなどで仮止めしておくことをおすすめします。

この時、窓枠の下部までアクリル板を密着させてしまうと、吹き込んできた雨水が逃げ場を失って溜まってしまう状態だったため、下部にはあえて隙間を作り、斜めに曲げ加工したポリカーボネート板を設置して水が外へ流れ落ちる構造にしました。
アクリル土台の接着が安定したら、用意したステンレスボルトで換気扇本体をしっかりと土台に固定します。

タイマウントを利用してケーブルが垂れ下がらないように配線し、コンセントへ接続します。
今回は中間にスイッチを設けていないため、プラグをコンセントに挿したタイミングで換気扇が回り始めます。

感電防止のため、アース線も必ず接続してください。
換気扇のファンが異音なく正常に動作し、室内の空気が屋外へ排気されていることを確認して施工完了です。

ティッシュペーパーをかざしてみると、しっかり外に向けて排気されているのがわかります。

もし設置後に排気側のフラップが風圧でうまく開かない場合は、室内への吸気が足りていない(密閉状態になっている)可能性があります。
他の部屋の換気口を開けるなど、住居全体の吸排気バランスを見直してください。
貼り付けた両面テープの接着待ちや、シーラントの硬化を待つ放置時間は含まず、純粋に手を動かした作業時間のみの概算です。
また、費用に関しては他のDIY作業で使用した資材を含んでいるため、テープ類やシーラントなどの資材はざっくりとした概算金額として算出しています。
| 品目 | 金額 |
|---|---|
| 浴室用換気扇 | 6,200円 |
| ビニルキャブタイヤケーブル | 2,000円 |
| コンセントプラグ | 300円 |
| ボルト・ネジ | 500円 |
| アクリル板 | 4,500円 (オーダー加工費込み) |
| 両面テープ、シーラントなど | 約1,000円 |
| 合計 | 約14,500円 |
- 作業時間:約90分
全行程の中で換気扇本体の加工・ケーブル加工に最も時間がかかっており、その部分だけで約60分を要しています。
土台の設置や組み込み自体は比較的短時間で行えます。
古い団地などで換気扇がないトイレでも、既存の突き出し窓とアクリル板を活用することで、壁への穴あけ工事を行うことなく換気扇の後付けが可能です。総額15,000円以下で実装でき、退去時の原状回復にも対応できます。
電気工事士の資格がなくても挑戦できるDIYですが、雨風の影響を直接受ける窓際への設置となるため、確実な防水処理や漏電対策を行いましょう。
環境に応じた適切な資材を選び、安全に配慮しながら快適なトイレ空間を作り上げてください。
UR賃貸のリノベーション記事は以下にまとめています。

