古い団地型のUR賃貸住宅では、建設当初のエアコン普及率が低かった背景もあり、エアコン設置に必要な設備工事がされていない物件も多く存在します。
そのような部屋で新たにエアコンを設置する場合、事前にいくつかの設備工事を行う必要があります。
この記事では、古いUR賃貸住宅でセパレート型エアコンを設置するために必要な事前設備工事の種類、模様替え申請などの手続き、そして実際にかかった費用や作業時間を解説します。
室内機と室外機が分かれているセパレート型エアコンを設置するためには、基本として以下の3つの工事が必要です。
- 配管用スリーブ工事
- 室内機用専用回路コンセント設置工事
- エアコン室内機設置用アンカーボルト設置工事
条件はありますがUR側の負担で施工してもらえる場合があります。
- 住居内にエアコン専用回路コンセント・スリーブ・アンカーボルトが設置されていない
- 設置場所がURが定める主たる居室である
無料の対象はあくまで「1部屋目のみ」です。2部屋目以降に設置したい場合の工事費は自費(入居者負担)となります。
管理サービス事務所や管轄の住まいセンターによって対応が異なる可能性があります。
これらの工事は、URが指定する業者でしか実施できないという決まりはないようです。
URから提示される仕様通りに施工するのであれば、自由に施工業者を選定できます。
ただし、配管用スリーブ工事については厚いコンクリート壁の穴あけという特殊な作業になるため、施工可能な業者が少ない傾向にありました。
対応できる業者が見つからない場合は、URに紹介してもらいましょう。
URの紹介業者であれば3つ全ての工事が施工可能ですが、見積もりで提示された金額は少し高めでした。
上記の3つの工事すべてにおいて、URへの模様替え申請が必要です(公式ページ)。
申請が通った場合は、模様替え承諾書とともに施工仕様が送られてきます。
施工仕様には使用できる部材などが指定されていますので、その内容に従って業者に施工してもらいましょう。
今回の工事3つは提示された施工仕様に沿って適切に施工されていれば、退去時の原状回復義務は免除されます。
バルコニーに面した側のコンクリート壁に穴をあけ、配管を通すためのスリーブを設置する工事です。
スリーブを設置する予定の場所はこちらです。

古い団地の場合、コンクリートの厚さは約20cm以上あります。
鉄筋コンクリート(RC)造のため、穴あけ作業の際に内部の鉄筋にぶつからないようにしなければなりません。
鉄筋の位置を専用の機器で確認しつつ、穴をあける位置を慎重に決めていきます。


バルコニー側も同じように進めていきます。

穴あけはバルコニー側から行います。
壁に対して垂直に穴をあけられるよう、まずはアンカーを設置します。


そのアンカーを使用して、穴あけ用のガイドを設置します。

穴あけ用の大口径のドリルを使用してコンクリートに穴をあけていきます。
この作業は非常に大きな音が出ます。また、慎重にゆっくりと穴あけを行うため時間もかかります。
電源の他に、ドリルの冷却のため水道から水を引く必要があります。
室内側まで貫通するとこのようになります。

壁の厚みがかなりのものであることがわかります。

あけた穴の大きさに合わせた樹脂パイプとキャップを設置し、隙間から水が入らないようにしっかりとシーリングを行えば完了です。


今回の配管用スリーブ工事は、URに紹介してもらった施工業者に依頼しました。
- 費用:約46,000円
- 作業時間:約4時間
自分でいくつか別の施工業者にも見積もりの依頼を行いましたが、コンクリート壁の穴あけが施工可能な業者は見つかりませんでした。
エアコンの室内機を稼働させるために、専用回路のコンセントを新しく敷設する工事です。
分電盤に小ブレーカーを増設し、そこから既存の配線に沿ってケーブルを敷設していきます。

設置場所までの経路に引き戸があるため、そのままでは配線を通せません。
既存の穴を利用して、一度キッチン側に配線を迂回させます。


引き戸を越えたところの壁に穴をあけ、エアコンを設置する予定の部屋に配線を引き込みます。

部屋の長押に沿って、エアコン設置位置まで配線を敷設します。

設置したコンセントボックスは、アース付きのIL型コンセントです。

今回の専用回路コンセント設置工事は、自分で探した施工業者に依頼しました。
- 費用:約28,000円
- 作業時間:約2時間
参考までにURに紹介してもらった施工業者の見積もりは約55,000円でした。
セパレート型エアコンの室内機を壁に安全に固定するための金具を設置する工事です。
このボルトは有名な規格であり、「公団ボルト」と呼ばれることもあります。
設置工事自体は、エアコン本体の取り付け工事と同日に施工してもらいました。

壁に打ち込まれたこのボルトを利用して、エアコンの室内機を設置・固定することになります。

今回のアンカーボルト設置工事は、自分で探した施工業者に依頼しました。
- 費用:約8,000円
- 作業時間:約30分
参考までにURに紹介してもらった施工業者の見積もりは約12,000円でした。
古い団地型のUR賃貸住宅にエアコンを設置する場合、配管用スリーブ、専用回路コンセント、アンカーボルトといった事前工事が必要になるケースが多いです。
工事には模様替え申請が必須となりますが、仕様通りに施工すれば原状回復は免除されます。
業者選びについては、特殊なスリーブ工事はUR紹介業者に頼りつつ、他の工事は自分で業者を探すことで費用を抑えることが可能です。
これからUR賃貸でエアコン設置を検討される方は、工事内容や費用感をぜひ参考にしてください。
UR賃貸のリノベーション記事は以下にまとめています。

